解決事例

【離婚】離婚を拒否するモラハラ夫と別居。苦境を乗り越え新生活を勝ち取った事例

事案

夫から日常的に繰り返されるモラハラ。夫を怒らせないように静かに暮らす日々。「このままではいけない」との一心で、何とかお金を工面して子供と一緒にアパートへ転居。その後、一人で離婚調停を申し立ててみたものの、離婚に応じない、別居後の生活費を渡さない夫。ついには現状の生活もままならなくなり、離婚と経済的救済が必要となった事案です。

結果

調停途中から受任した上で、離婚成立。別居期間中の生活費と離婚後の養育費について、依頼者である妻の主張する金額の満額の支払いが認められました。

ポイント

生活保護を優先

まず受任と同時に、依頼者の経済的な支援が急務でした。しかし、正式な離婚が成立していない別居期間中は、実質の経済状況が母子家庭と変わらなくても、母子としての公的支援は受けられません。その点、生活保護は離婚の有無を問わず、世帯の経済状況を加味して判断してもらえるため、別居後の妻子の収入状況等によっては認めてもらうことができるのです。本事案では、 早急な生活保護申請と市役所の協力もあり、受給が早期に行われ、依頼者妻子の生活を守ることができました。

※なお、婚姻費用に関しては保全手続きが存在し、本請求である婚姻費用の調停や審判が確定するまでの間、生活費を仮に支払わせる制度があります。今回のケースでは総合考慮の上、生活保護を選択しましたが、ケースによっては保全を進めるものもあります。事案毎の個別対応が重要だと考えています。

婚姻費用」の請求

次に、新たに婚姻費用分担請求調停を申立て、離婚の話し合いに先行して婚姻費用の支払いを求めました。この手続きはもちろん生活の安定の意味もありますが、離婚を拒む夫にとっては、別居した妻の生活費を負担し続けなければならなくなりますので、離婚を決意させる効果も持つのです。

なお、調停では相手方より「生活保護を受給しているのだから、婚姻費用を支払う必要はない」「生活保護の受給額を妻の収入額として計上しろ」などといった反論が出ました。
しかし、生活保護費は、民法に定める扶養義務者の扶養等に劣後して行われる生活保障制度ですから、婚姻費用を算定するにあたり、生活保護の受給を妻の収入として考慮されることはありません(名古屋高決平成3年12月15日)。
当然、裁判所も審判において生活保護費を依頼者の収入として算定しない旨を宣言し、無事に生活費額が取り決められました。そして、同時に夫は離婚にも応じる結果に。最終的には審判にて、養育費についても依頼者が主張する全額が認められるに至りました。

事件後記

晴れて手当を受けながら、子供と再出発をすることができた依頼者。この件を通して、依頼者とは事件の話だけでなく、子供の話や再開した仕事のことなどを話しました。そのときの彼女の明るい笑顔から「人は前を向き続ける限り立ち直ることができる」 と改めて実感しました。


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